若葉株式会社 イメージ

update : 2022.09.29

瑞浪市土岐町にある「若葉」を訪問してきました。

「若葉株式会社」は岐阜県瑞浪市土岐町にあります。中山道と名古屋城下を結ぶ下街道沿いに位置し、美濃源氏発祥の地として知られています。また、JR瑞浪駅から歩いて約20分(1㎞)、瑞浪インターから車で約5分という交通の便に恵まれた場所にあり、コロナ禍以前40年近く毎年開催された蔵開放には、名古屋をはじめ、東京、大阪から多くの若葉ファンが蔵を訪れ、新酒を楽しみました。

創業は元禄年間、現社長さんは13代目です。早稲田大学文学部日本史学科卒業というだけあって瑞浪の歴史についても詳しく教えてくださいました。かつては新潟から季節杜氏を呼んで酒造りを行っていましたが、先代について酒造りを学び、自身が杜氏兼社長となり、純米酒中心の酒造りに転換されました。

酔いどれコンサート

 小室等さん&ゆいさん

小室等さんを招き、1999年から16回開催された
「酔いどれコンサート」。
木造という優しい空間のなかに響き渡る歌声は
格別なものであり、気分も高揚します。


社長さんのお顔で実現した小室さんのコンサート。
小室さんもさぞ、ほろ酔い気分で楽しまれたことでしょう。

         写真は若葉さん提供

「自分が飲んでうまくなきゃあ」

「若葉」の酒造りのコンセプトは「料理とともに日々の晩酌で楽しめる酒」。
香りが高すぎず、味わいがあって、なおかつキレがあるお酒、料理を楽しみながら口中をスッキリさせる酒を目指して醸されています。

社長さん曰く、「自分で飲んでうまくなきゃあ。」
「ぼくは香りが高すぎる酒っていうのは、好きじゃない。食事とともに楽しんで頂きたいし、みんなで飲めば楽しいじゃないですか。」

使用酵母は岐阜県産のG酵母とG2酵母。G2酵母はやや香り高めだが、許容範囲であるそう。
米は地元の米を中心に使用し、地域ならではの「岐阜の酒」を醸しています。

シーズンオフの酒蔵。次の仕込みをまだかまだかと心待ちにしているようにも見えるタンクたち。

神谷:原料米に「朝日の夢」とありますが…。

―実はこれは酒造好適米じゃなくて、もともとは飯米なんです。岐阜県の農業普及員の方からの提案で使ってみたんですが、なかなかいい感じで。やや硬めの米なので精米がきく(削れる)し、また発酵過程で米が全部とけてしまわないので、いやな味も出ないし、うま味を感じる酒になります。生産者の顔がみえるっていうのも使う理由の一つです。

神谷:仕込みの工程で一番気を遣うのはどの過程ですか。

―全てです。お酒をつくっている間は瓶詰めするまで気が抜けません。
お酒はその時その時の環境に左右されやすいので、出来上がるまでは心配が尽きません。毎年、昨年のことを顧みつつ、常に酒質の向上を目指しています。

神谷:「大いばり」の精米歩合が少し上がりましたね。

ーバージョンアップしようと思って、緑ラベルは雄町を50%から45%へ、青ラベルは五百万石を60%から55%に変えました。香りは抑え気味ですが、口のなかで旨味が広がるような飲み口に仕上げています。

神谷:おすすめの飲み方がありますか。

―本人がおいしく飲めれば、ぼくはどんな飲み方だっていいと思います。原酒ならオンザロックでもいいし、ソーダ割でもいい。少し水を加えて自分の飲みやすい度数に変えて飲んでもらってもいいと思うんです。楽しみ方はいろいろですから。燗も然り。温度によって味わいも変わってくるから、自分に合った温度で気楽に食事とともに楽しんでもらえればいいと思います。

麗慈井

「若葉」は土岐川の真横にあり、豊富な伏流水が地下を流れています。
敷地内にはいくつもの井戸があり、その中で最も古く今もなお使われている井戸が写真の「麗慈井」です。岩盤を貫き地下深くから伏流水を汲み上げ、それを創業以来仕込み水として使っているそうです。
文字通り、若葉の「命の水」ですね。

「若葉」という社名

神谷:どうして社名を「若葉」と名付けられたんですか。

ー蔵の資料によると、木下順庵(元禄の儒学者)の詩「稚松(ちしょう)」にちなみ、「若葉」と名付けたようです。若い松の木(稚松)が成長していくように、との願いと期待が込められたんだと思います。

神谷:ラベルの筆跡からもそのような願いが窺い知れますね。クラシックながらも洗練されたデザインで、むしろ私には新鮮に感じられます。ラベルの解説をしていただけますか。

―下記のラベルは昭和30年代のものです。丸に「イ」は屋号の「井丸屋」を示します。
「若葉」という名も当時は多数存在したことから、他と区別するために縁起の良い「根引松 若葉」としました。

昭和30年代のラベル
当時の社名は「井丸屋醸造株式會社」だった
現代版クラシックラベル

写真右 昭和30年代のラベルをもとにブラッシュアップしたもの
    このラベルは現在でも「にごり酒」など数アイテムで
    使用されている

元禄の儒学者、木下順庵 徳川綱吉の侍講を務める

ダバオとカリボ

庭に目を向けると、大きな2つの樽が向かい合って逆さに置かれていました。
よく見ると、「おや?」 なんと扉がついているではありませんか。まるで小人の家のように。
中を見せてもらうと、これが結構広くて二畳ぐらいの広さがあります。そして中央には囲炉裏が。
冬の寒い時に鍋を囲みながら差しつ差されつ飲むにはちょうどいい広さ。
理想的なコミュニケーション空間です。
(しかし冬場は仕込みで一番忙しい時期なので、久しく使っていないそうです)


入り口の上には「無虚庵(ダバオ)」と「有虚庵(カリボ)」と達筆で書かれた扁額(へんがく)が。
「ダバオ」と「カリボ」、その名は先々代の伊藤郁郎氏が戦争でフィリピンに出征した場所にちなんで名付けられました。
風情があって心惹かれるダバオとカリボです。

無虚庵 Davao
有虚庵 Kalibo

台風と自然災害

上からつりさがっているひもは蒸米をタンクに送るためのシューターを通すもの。

古くから続いているがゆえに、蔵の維持に頭を悩ませることもあるそうです。数年前の台風では壁が倒れ、屋根の一部が飛んでしまうこともありました。そして、蔵訪問をさせていただいた前日も、雷が落ちたそうです。


「新しくしたい思いもある。でもこのしつらえがあるからこそ、お客様は喜んで来てくださると思うので、この蔵を手入れしながら守っていけたら…。」

築150年ほど経過した酒蔵の一部には、耐震工事がなされた箇所も見られます。しかし昔ながらの佇まいからは木の温もりが感じられ、気持ちが落ち着き、どこかしらほっとするものがあります。


酒を愛し、蔵をも愛す杜氏・蔵人さんたちにとって、蔵は自分史。
この蔵とともに歩み、この酒とともに味わった楽しみ。それは蔵の成長の過程であり家族の財産でもある。社長さんの一言一言に蔵への愛着を強く感じました。

息子さんとともに…

社長さん 「これからは息子のアイディアも取り入れて商品を開発していきたいと思います」

神谷:息子さんに期待することは何ですか。

―そうですね。まあ期待というか、酒販店さんなり一般のお客様なり、気に入っていただいている若葉の色だけは変えないでほしいなと思っています。いっしょに(配達を)回りながらいろいろな人からお話をお聞きしているわけですから、そういうことからはずれないでやってくれればと思います。ただ世代世代なので自分なりにやってくれ、という思いでいます。

息子さん 「自分の代でも繋いでいけるように、今までの色を残しながら、また新たなこともやっていきたいと思います」 

お互いに照れながらそう話してくださった若葉さん。十年後二十年後、若葉はどんな色になるのでしょうか。
ご子息を温かく見守る社長さんと、父の姿から学びつつ思いを受け継ぐ覚悟の息子さん。
お互いの目を見合わせ頷き合った後、朗らかな笑い声が蔵のなかに響き渡りました。  

※何枚かの貴重な写真を若葉さんにご提供頂きました。若葉さんのご厚意に感謝いたします。

Company Profile

若葉株式会社

〒509-6101 岐阜県瑞浪市土岐町7270-1   
電話 0572-68-3168  
FAX  0572-68-4639 
Email info@wakaba-sake.com
HP https://wakaba-sake.com/
※ご訪問の際はお電話をお願いいたします。

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